温泉旅館業界一筋50余年の、業界人が選んだ「いいお宿」を紹介しています。ただし、管理人がすべての宿に泊まって選定したわけではありません。大部分は経験とカンによって選んだホテル・旅館です。
旅の楽しみは、見る、食べる、泊るである。ただし、テレビや雑誌で見た風景やランチ、食べ歩きの確認旅行ではつまらない。コンビニのように金太郎アメ的なホテルものもいいが、旅の醍醐味は未知との遭遇である。その最たるものが温泉旅館だ。温泉旅館は日本全国バラバラであるから楽しく面白いのである。
ご当地だけの料理や温泉、女中さんたちとの出会いのわくわく感がたまらない。温泉旅館は相性でその良し悪し決まる。だから、温泉旅館では、そこの家風や流儀に身を任せると、結構、楽しいものになる。たとえば、建物は古く、料理はいまいちでも、温泉が気に入れば、その人にとってはいい旅館なのだ。
今の日本には、結果が分からなくても買うものが二ッある。一つは宝くじで、もう一つは温泉旅館である。宝くじは当たらずとも文句を言わないが、温泉旅館は外れるとブツクサという。なんでだ!
もちろん温泉旅館側にも問題はあろうが、それは、自称・温泉旅館アドバイザーなる輩が、人材も少なく、資金量も乏しい温泉旅館の経営実態を顧みず、温泉旅館とは、チップも受けとらず、万全の態勢でお客様を受け入れ、かつ、殿様待遇をしろ、と妄言を吐き散らかしたことにある。
悪いことに、それにのったテレビなどがちょうちんをつけたので、多くの人たちに、誤った旅館概念を植えつけてしまった。これが、温泉旅館の社員や旅行者に不幸をもたらした。
旅館アドバイザーやテレビ放映の間違いは、温泉旅館を銀座の一流のバーやクラブに見立てたことにある。温泉旅館の実態は、街なかの居酒屋やスナックなのだ。居酒屋やスナックなどには、それぞれ強烈な個性があるので、自から飛び込んでいかないと楽しく過ごせない。温泉旅館も同じである。